2011年7月22日金曜日

知的生産者にとっての福岡の魅力

先日の「福岡をシリコンバレーに」の記事では、福岡を辛く評しすぎた面もあるかもしれません。本稿では、福岡の魅力はなにか、その魅力をどう伸ばすべきかを考えます。

福岡の魅力はコンパクトで充実した都市の魅力です。世界的にも住みやすい都市としてランキングされるほどの魅力があります。以下に私が感じている魅力を挙げます。





  • 都市のサイズが小さく、家賃が安いので、都心に住んで、自転車でどこでも移動できる。
  • 巨大なジュンク堂がある。世界でも有数の巨大書店であるジュンク堂福岡店があります。
  • スターバックスが多数ある。福岡は世界でも有数のスタバ集積地帯です。
  • 魅力的な飲食店が多数ある。
  • 文化的魅力もそれなりにある。
  • 公園や海などが近くにある。

このように知的生産者(知的階級)にとって、これ以上ないという魅力的な条件が整っています。

自分が資本である知的階級にとって、通勤などの移動時間は大敵です。また大きな書店が必要であることは言うまでもありません。知的階級は、スタバなどのカフェで、読書や仕事を進めることも重要です。また知的階級は、魅力的な飲食店のない文化的でない街に住みたいなどと思いも寄らないでしょう。

文化都市(クリエイティブ都市)についての第一人者であるリチャード・フロリダは、自転車にフレンドリーで、チェーン店でない素敵な飲食店が数多くある都市こそが、知的生産者を引きつけると言っています。

福岡は、こうした魅力を活用して、日本で最も知的階級の集まる街とならなければ生き延びていくことは到底叶わないでしょう。


現在の福岡にもっとも欠けているものは、知的階級の集積です。福岡にも魅力的な条件は揃っているものの、日本では知的階級はすべて東京に行ってしまうので、福岡には知的階級が少ないのです。これを打破せねばなりません。

それには前回わたしが述べたようなシリコンバレー化計画を実施するとともに、福岡をもっともっと知的階級が住みやすい街にする必要があります!


まず、大名や今泉、警固、薬院、春吉といった中心市街地は、早急に歩行者中心の街に転換する必要があります。一方通行化や、タクシー空車の禁止、信号や一時停止の増加、歩道の拡充、自動車の通りにくい街作りをすることによって、歩行者が安全かつ快適にショッピングや飲食を楽しめる街にする必要があります。いまは歩くと危険が多すぎます。

文化面では大幅な拡充が必要です。現在の福岡は文化的に東京から大きく遅れています。行政は、音楽や芸術にもっと支援をしなければいけません。箱物は不要です。良いアーティストがいれば良いのです。NPO Tiempo Iberoamericanoのような素晴らしいNPOにも多額の資金をいますぐ投入すべきでしょう。またダンスクラブ特区などを作って、ダンスクラブ営業を適法化するなど、若者文化を振興する施策も必要です。

リチャード・フロリダは、ゲイ・フレンドリーな街が伸びる、と言っています。住吉のようなゲイ地区を、もっとアピールしてオープンなゲイ地区として外国人を呼ぶなどと言った方策はどうでしょうか。アジアでは、ゲイがオープンに楽しめる街は少ないので、特色を作り出すことができます。

禁煙条例などを策定して、都市全体の飲食店を禁煙にすることも必要ですね。知的階級はタバコを嫌いますからね。

もちろん「屋台」という福岡唯一の観光資源を捨てるなどあり得ないことです。規制を緩和して屋台を振興させねばなりません。福岡には他に観光資源など一つもないのですから。

行政はよく「福岡はアジアのゲートウェイ」などと言っていますが、アジアでの福岡の存在感など微々たるものです。この飛行機時代に地理的な近さなど何の意味もありません。もし本当にアジアのゲートウェイになりたいのであれば、ビザ緩和、雇用支援など、大幅な外国人招聘策が必要です。


私は、世界中いろいろなところに旅をしますが、最近「福岡から来ました」というと、「あのBachata en Fukuokaの街ですね!」と良く言われます。前述のNPOが招聘した、たった一人の世界的歌手が、福岡に感動して福岡の歌を作った、それによって福岡の名前が世界的に知れ渡ったのです。

既存産業に投資をしても、たった数億円~数十億円では、なんの成果もあがらないでしょう。しかし若者文化や知的階級に直接投資をすれば、数億円~数十億円とはすさまじい威力を持ったお金になります。いまこそ生きたお金を使うために何が出来るかを考えるべきです。

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