2013年12月28日土曜日

第二外国語を学ぶ ― 韓国語の楽しみ

日本人は英語を学ぶことばかりに躍起になっているようですが、そろそろ「英語だけ話せます」という段階ではなくて、三カ国語以上が話せることを目指す時代になっても良いのではないかと思います。

たしかに英語は世界中でかなり通じます。だから第一に学ぶ言語としては実に適切です。世界中、どこの都市に行っても、一人や二人は英語を話す人を見つけることができるでしょう。

しかし、それだけではその国々の表面をなぞったことにしかなりません。その国をもっと深く知るためには、その国の言葉を知らなければならないでしょう。国際人(笑)を目指すのならば、単に英語ができるというだけではなく、色々な国の文化や言語などに接することも必要条件ではないでしょうか。

その中でも、韓国語は日本人にとって最も学ぶ価値のある言語の一つです。その理由は:
  1. 日本人にとって最も学ぶのが易しい言語である
  2. ハングルは興味深い文字である
  3. 日本文化、日本語、日本の歴史などについて、より深い理解をできるようになる
  4. 隣国なので使う機会が多い
  5. 韓国の飲食店などはだいたい韓国語のみの表記なので、役に立つことが多い
  6. 基本的に日本人にたいして親切に接してくれる

日本人にとって英語を学ぶことは極めて難しいことです。私のようにちんたら向上させていたら、流暢に使えるようになるのに20年以上かかります。死ぬ気で集中して勉強しても、かなりの時間と労力がかかるでしょう。

それにたいして、韓国語を学ぶのには1/5くらいの労力しかかかりません。(英語話者にとっての言語間の距離に関する習得難易度の表から推計)

韓国語を学ぶのが容易な理由ですが、まず第一に韓国語の文法は日本語と極めて類似しています。韓国語は日本語と類似した文法を持つ世界でも珍しい言語です。

さらに韓国語には中国語や日本語から移入された語彙を多く持つので、日本語と語彙が似通っています。「高速道路」は「こそくどろ」になるなど、ほぼ同一の語彙で同一の発音を持つ物も少なくありません。

私は、現在は中国語とタイ語を学んでいますが、この二つなら中国語の方が圧倒的に容易だなー、と思います。漢字を見れば意味を推測することができるし、いちど発音を学んでしまえば、日本語や漢字と結びつけて憶えることができますので。

しかし中国語は、発音が難しいので、韓国語に比べると習得が困難です。韓国語の発音は日本語よりは複雑ですが、いちどコツを身につけてしまえば、すぐに問題なく通じるようになるでしょう。さらにハングルは、ほぼ表記通りに発音する、分かりやすい文字なので、新しい語彙を身につけるのも容易です。

第二外国語などといってドイツ語やフランス語を少しだけ学ぶのは極めて愚かなことです。なぜなら少し学んだくらいでそれらの言語を身につけることは不可能だからです。それにたいして韓国語であれば、少しの努力で多少なりとも話せるようになります。


韓国語を学ぶと、必然的にハングルを学ぶことになりますが、この文字は興味深い性質を持った文字です。

最初にソウルで韓国語学校に通い始めたときに「ハングルは韓国が誇る偉大な文字だ!」みたいなビデオを見せられて、そのお国自慢精神に辟易させられたのですが、実際に学んでみると、確かにかなり優れた性質を持っていることが良く分かります。

ハングルは1446年に李氏朝鮮の国王直属プロジェクトとして、学者によって人為的に作成された文字であり、世界の文字のなかでも学者が人為的に作った文字が使われている数少ない例でしょう。

ハングルは音韻学に基づいて作られており、またシンプルかつ明確に区別された記号により構成された文字は、容易に憶えたり読んだりすることができます。

例えば、ㅗ(お)とㅏ(あ)を組み合わせたㅘは(わ)となりますし、ㄱ(k)、ㄲ(kk)、ㅋ(kh)などの似たような音は同じような記号で作られています。

これにたいして、自然に作られた文字というのは、得てして「ツ」と「シ」などのように判別が難しい文字を含んでいるものですし、規則性もないので憶えるのも読むのも困難です。また文字と発音が1対1で対応していない場合も良くあります。

私は現在、タイ文字を読むのに大変苦労しています。ハングルが数週間の学習で完璧に憶えられたのに比べ、タイには数ヶ月滞在してもタイ文字を完璧に憶えるには至っていません・・・

数百年前の東アジアの学者達というのも、なかなか合理的な思考と優れた能力を持っていたということを教えてくれます。


韓国語を学ぶことの面白さの一つは、日本についてよりよく知ることができるということです。例えば、タイ語を学んでも、それほど日本について深く知るということにはつながらないでしょう。

しかし韓国語や中国語は、日本の歴史や文化を密接に結びついていますので、韓国語を学ぶことは日本の文化を学ぶことにもつながります。

私は、韓国語を学ぶことがなければ、日本語の漢語の発音に呉音、漢音、唐宋音という三種類があるなどということを知る機会もなかったでしょう。

日本の数字が中国から伝わってきたものであることも、より良く分かります。なんと数字はタイでまで同じ数字を使っているのです。日本語でも中国語でも韓国語でもタイ語でも3は「さん」です。韓国語でもタイ語でも20はイーシップです。これは中国の古い発音が残っているものと考えられています。ちなみに広東語ではイーサップですね。

余談ですが、広東語というのはタイ語とわりと近いのかなあ、と思います。香港人の友人がタイ語を話しているのを聞くと、どう聞いても広東語にしか聞こえないのですが、ちゃんと通じていますし・・・

日本の語彙が、いかに中国や朝鮮の影響を強く受けているか。そして、逆に日本の植民地支配が韓国の現代語彙や文化にどれほど強い影響を与えているか。そんなことを通じて、日本やアジアの歴史に思いをはせることができます。


隣国の言語なので、使う機会が多いというのは自明ですね。韓国には日本の地方都市よりも安い運賃で行くことができるくらいですから。

韓国の飲食店はだいたい英語メニューなどといった気の利いたものはなく、何を頼むにも韓国語が必須となる店が多いです。私がソウルに住んでいたのは10年前なので、いまは少し事情が違うかもしれませんが。韓国は交通の便が良く、徒歩で色んな飲食店を訪れることができるので、ハングルが読めれば、かなりの飲食店に行くことができます。

私が韓国語を学ぶきっかけとなったのは、11年前に一人で旅行したときに人々が大変友好的でノリが良かったことでした。

その翌年、ソウルに3ヶ月住むことになったのですが、10年前のソウルには日本人や外国人はそれほど多くなく、日本人というだけでどこにいっても大歓迎されたものです。当時はまだ日本というと一種の憧れをもたれていたように思います。韓流ブーム以降のソウルは日本人だらけですから、そういうことは無いかもしれませんが。

日本人が海外をゆっくり旅行していると、同じような旅行者の韓国人と友達になる機会が多いようです。韓国人と日本人はなんだかんだ言っても気質や文化が非常によく似ているので、欧米人よりもずっと取っつきやすいというのがあるでしょう。

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