2016年2月3日水曜日

日本人はなぜ社畜に甘んじるのか? 一人一人が戦わなければ何も変わらない。

私は日本を声高に批判する海外在住者をいつも苦々しい目で見ています。なぜなら世界中には色々な国があるが、どこにも天国などないと私は思うからです。どこの国にも一長一短があり、人によって住みやすい国や成長出来る国などは違うことでしょう。それを日本だけが劣っているようにあおり立てる海外在住者は卑劣だと苦々しく見ています。

もちろん日本にも悪い点や、直すべき点はいろいろあるでしょう。しかし政府が悪い、社会が悪いと言っていても何が変わるでしょうか? 日本に悪い点があるのなら、一人一人が直せる範囲でよくしていくしかないはずです。


世の中の人が、日本について最も不満を抱いているのは、その組織文化ではないでしょうか。とくに職場の劣悪な人間関係や労働条件などは誰もが苦痛に感じているようです。日本の労働環境を素晴らしいという人は見たことがありません。

しかし「なぜ日本の職場環境はそんなに悪いのか」「どうすれば改善出来るのか」について真剣に考えている人がいないのは不思議なことです。

私から見れば、日本の職場環境が悪い理由は自明です。

それは労働者が自分の権利を守るために全く戦おうとしないからです。

彼らはまさに「社畜」の言葉通り、従順に会社に従い、しばしば会社のために我が身を捧げて死んでいきます。それは小中高と奴隷養成学校で育てられた日本人の奴隷根性がそうさせているのです。

労働者や一般市民は、今の生活や権利を、権力者の思し召しで与えられたわけではありません。企業や政府と戦い、ときには血を流して、権利や待遇を勝ち取ってきたのです。みなが従順な社畜であったら、だれがわざわざ良い待遇を用意するでしょうか?

一人一人が、自分の持ち場で、声を上げて戦うことをせずに、なぜ政府や社会の批判ばかりするのでしょうか?

(ちなみに私は共産主義者でもなんでもなく、バリバリの資本主義者であり、経営者であり、複数の従業員を雇用している立場です。労働組合やストライキ権などは、あまりに強い権利を持ちすぎていると思います。それほどの強い権利をなぜ労働者が使わないのか、実に不思議です…)


社内で労働組合を旗揚げしろとか、共産革命に身を投じろとか、そういう無理難題を吹っ掛けるつもりはありません。各人が負担の無い方法で戦えば良いということです。

一番簡単なのは不当な待遇を受けた場合には全てそれをメモや録音などで記録しておき、会社を辞めたタイミングで、それを持って労働基準監督署に行くなり、弁護士の無料相談に行くなりすることです。もし勝訴して十分な賠償金を得られそうなら弁護士は訴訟を提案してくれることでしょう。

弁護士費用の捻出が難しい場合は、一人で加入出来る労働組合(ユニオン)に加入して、ユニオンを通じて会社と交渉したり、ユニオンを通じて労基署に訴えるという手があります。役所の常として労基署も仕事を増やしたくないので、なるべく追い返そうとするかもしれません。「ユニオン 労働組合」で検索すれば多数出てきます。(このパラグラフは2016/3/5に追記)

これを多くの人が実践すれば、会社は労働者に対して不当な扱いをすることを恐れるようになるでしょう。実際に勝訴出来るかどうかは案件によるでしょうが、未払い残業代などは証拠さえあれば勝ち取れるものと思います。さらに勝訴出来なくても労基署や弁護士が介入してくれば牽制球にはなるでしょう。

会社を辞めてから戦うなら何も怖いことはないですよね。

逆に零細企業経営者としては、めちゃくちゃ怖いんですけどね(笑)。日本では大企業以外では複雑な労働関連法規を完全に守って経営できているところはなかなかないと思うのですよ。とくに弊社の場合は、完全在宅勤務なども実施しているので、正確な労働時間の把握など、さらにややこしい点があります。


そして労働者にとって最も大事なことは、仕事のせいで精神や身体に不調を感じたらすぐに辞めるか休職するということです。

元気があり、すぐ転職できそうなら辞めればいいでしょうし、心身の不調で休養が必要であれば休職して健康保険の傷病手当金を受け取るのが良いのでしょうね。病気等で一度辞めてしまうと手当などが受けられないこともあると聞きます。(私も詳しくないので、ここはどなたか詳しい方にコメントなど頂ければと思います)

精神や身体に不調を感じているのに、それが重病になってしまうまで働き続ける日本人は本当に愚かだと強く思います。それも家族がいて、給料の良い大企業に勤めており、転職すると給与が大幅に下がってしまう人ならともかく、若くていくらでも仕事があるような人が身体を壊すまで働く理由がありません。

うつ病は、多くの人がかかる病気なのに、一度罹患すると数年間働けなくなることもざらにあり、さらには一生後遺症を残すことになったり、最悪の場合は死にも至る恐ろしい病気です。

とくにデスマになったら即座に逃亡することを強くお勧めしますね。いくら養うべき家族がいると言っても、お父さんが過労死したり、うつ病になったりするよりは退職する方がマシでしょう?

私の知人で、格闘技などをやっていて、タフさには自他共に自信があった人も、うつ病になってしまいましたからね。デスマの危険というのは恐ろしいものです。


「すぐ逃げるような奴は何をやっても駄目だ」とかいう人がいますが、私はこれまで逃げて逃げて逃げて人生を送ってきましたが、いまは事業をいくつか立ち上げて成功して、わりと悠々自適に暮らしています。

逃げていても、ちゃんと自分の進むべき道をきちんと考えて頑張って生きていれば、それで能力が無くなるとかいうことはないと思いますよ。嫌な仕事から逃げて、楽しい仕事だけ全力でやればいいんじゃないですかね…。

ただ日本人は、嫌な仕事から逃げるというと、すぐに資格勉強とかに走ったりする訳の分からない行動を取る人がいるのですが、そういうのはやめたほうがいいですね。嫌な会社や顧客などから逃避するのが大事であって、自分の人生や本業から逃避してくだらない夢物語に生きるべきではありません。


日本人はあまりに従順であることから会社に舐められています。

サービス残業は明確な犯罪です。

自分が犯罪の犠牲になって黙っていることが美徳ですか? そういう考えの人が増えれば増えるほど、会社はつけあがり、他の多くの労働者が犠牲になります。誰かが我慢して低い待遇に甘んじれば、他の人が犠牲になるのです。

もちろん日本社会自体の構造問題もあるので、一人一人が戦えることには限界もあり、戦うという手段は個人にとっての特効薬ではありません。

しかしもし大多数の日本人が戦うことを選ぶとすれば、社会は一夜にして変わるでしょう。戦わないということは、多くの人々を巻き添えにするということなのです。戦わないで社畜に甘んじるということは、社会を駄目にする許しがたい悪徳だと私は考えます。

さらに言うと、徹夜をしてでも納期に間に合わせて残業代は請求しない、そのような社畜プログラマーがいるから、この業界は良くならないし、まともな経営をしている会社に迷惑をかけていると思いますよ。

社畜プログラマーを雇って顧客の無理難題に安く応えるような会社がいれば、真面目に社員の労働環境を守ってきちんと残業代も払う会社は不利になりますよね? さらには安いIT奴隷工場があれば、パッケージやクラウドや新技術などを活用してまともに生産性向上の努力をする会社の足を引っ張る恐れすらあります。

すなわち社畜は、日本で真っ当な権利を主張する労働者達の敵であり、さらには日本でまともな経営をする会社の敵であり、日本経済の足を引っ張る非国民なのです。

社畜は日本の癌細胞であり、一日も早く撲滅せねばなりません。


追伸: あと日本の組織の人間関係を悪くしているものに日本人のコミュニケーション力不足が根底にあるかと思います。議論や指摘などがまともにできないのね。でもそれはまた別の話だし、解決は難しそう。

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